作陶を中心に活動するようになって今年で10年目。プレートやカップなどの器のほか、愛嬌のある動物や山などのモチーフの陶製オブジェのファンも多いが、アーティストとして活動を始めた当初は、絵画や版画などの個展を行っていた。
「個展を重ねるなかで、絵を飾る文化が日本ではそれほど定着していないのではないかと感じて。絵画以外の表現方法で自分の作品を知ってもらえるモノづくりができないかを模索しながら作陶をはじめました」。
言ってみれば、陶芸に関しては初心者同然。基礎的なわからないところは陶芸家の友人に質問したりしながらも、基本的には自分なりに考えながら独学していった。自身では陶芸家と名乗っていないのはそのため。「当初からですが、陶芸だけをやっているつもりではないと考えていて、陶芸を中心に個展をしている今も、絵や詩歌なども少しずつおり混ぜて個展をしています」。
初期作品は動物や山などのオブジェが中心だったものが、だんだんと「器なども欲しい」とのリクエストを受け、器やカップなどを制作するように。多くの器を作るようになった今でも気持ちを器モードにして、「器を作るぞ!」という気分で取り組むと話す。
絵画や版画の経験が器づくりに与えている影響について尋ねると、小学生のときに通った絵画教室の先生がいつも話し聞かせてくれたギリシャ神話の影響はあるかも、との意外な答えが返ってきた。「私の作品を見て、土器みたいだとか、ヨーロッパの古物を連想する方がいらっしゃるんです。私の幼少期から今にいたるまでの過程で記憶や思い出が混沌と混ざって作品ができていて、それがまた誰かの思い出と重なって、懐かしさや温かさを感じてくださっているのではないかと思っています」。