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ファッション通販【ELLE SHOP】 エル・ショップ

マーブル模様に惹かれる、タカノミヤさんの器

2024.07.09

人気作家のタカノミヤさんが「New Classic Tortilla Club」の別注で作った、タコスのための器シリーズが「エル・グルメ ショップ」に入荷。眺めているだけで楽しい、独特な色と模様はどんな風に作られている?

独創的な作品を生み出す、タカノミヤさんって?

色の異なる粘土を合わせて作る、独特のカラーパレットで色が重なり溶け合うマーブル模様。タカノミヤさんの器は、モノとしての存在感があり、愛嬌のあるかわいらしさがあふれ出している。
 
東京・代々木上原でトルティーヤショップを展開する「New Classic Tortilla Club」の別注によるタコスのためのシリーズも、「この器を使いたいからタコスを食べよう」と思わせるチャーミングな表情で、ひしひしと訴えかけてくるよう。食器のほか、動物や山などをモチーフにした陶器のオブジェなどでも知られるタカノミヤさん。独学で陶芸を学んだ、DIY精神あふれる作家なのだ。

絵画や版画から、陶芸へ転身

作陶を中心に活動するようになって今年で10年目。プレートやカップなどの器のほか、愛嬌のある動物や山などのモチーフの陶製オブジェのファンも多いが、アーティストとして活動を始めた当初は、絵画や版画などの個展を行っていた。
「個展を重ねるなかで、絵を飾る文化が日本ではそれほど定着していないのではないかと感じて。絵画以外の表現方法で自分の作品を知ってもらえるモノづくりができないかを模索しながら作陶をはじめました」。 
 
言ってみれば、陶芸に関しては初心者同然。基礎的なわからないところは陶芸家の友人に質問したりしながらも、基本的には自分なりに考えながら独学していった。自身では陶芸家と名乗っていないのはそのため。「当初からですが、陶芸だけをやっているつもりではないと考えていて、陶芸を中心に個展をしている今も、絵や詩歌なども少しずつおり混ぜて個展をしています」。
 
初期作品は動物や山などのオブジェが中心だったものが、だんだんと「器なども欲しい」とのリクエストを受け、器やカップなどを制作するように。多くの器を作るようになった今でも気持ちを器モードにして、「器を作るぞ!」という気分で取り組むと話す。 
 
絵画や版画の経験が器づくりに与えている影響について尋ねると、小学生のときに通った絵画教室の先生がいつも話し聞かせてくれたギリシャ神話の影響はあるかも、との意外な答えが返ってきた。「私の作品を見て、土器みたいだとか、ヨーロッパの古物を連想する方がいらっしゃるんです。私の幼少期から今にいたるまでの過程で記憶や思い出が混沌と混ざって作品ができていて、それがまた誰かの思い出と重なって、懐かしさや温かさを感じてくださっているのではないかと思っています」。

マーブル模様はどう作る?

別注アイテムの中でも特に目を引くのが、リムラインに淡いグリーンとイエロー、グレーが混ざり合うグレーのプレート。全体としての印象はのびやかで、色が混じり合う表情は繊細。タカノミヤさんの普段の作品においてもユニークな表情をもつマーブル模様はシグネチャーといえるものだが、この模様はいったいどのように作られている? 
 
「まず自分の好みの土の硬さにするために数種の土を混ぜ、その土にさらに顔料を混ぜます。こうして色の違う顔料入りの土をいくつか作り、次にその土をひとつに合わせて混ぜ、形にしていきます」。いわゆる「練り込み」と呼ばれる技法に近そうだが、タカノミヤさんがユニークなのは、「練り込み」の存在を知らずにこの方法にたどりついたこと。
 
「作陶を始めたころは、色を付けるのは釉薬だけだと思っていて、あるとき陶芸用の顔料があることを知りました。なので、本当に初期に作ったものは真っ白、釉薬も色のついていないものを使っていたのです」。そこから試行錯誤を重ねて今の方法を編み出したというから、その発想力には、すごい!と驚くばかり。
 
複数の色の土を混ぜてから焼くので、仕上がりの模様は一期一会。「どんな色になるかは出来てからのお楽しみです。貝殻や石の模様を見て小さな宇宙を感じるのですが、マーブル模様にもその小さな宇宙を感じ取れることがあります」。

タコスのための「New Classic Tortilla Club」別注

「New Classic Tortilla Club」のために作成したのは、タコススタンド、プレートのほか、店ではメキシコの蒸留酒メスカルを提供するときに使うショットグラス、現地ではサルサの材料となるチリなどを混ぜる「モルカヘテ」をモチーフにしたボウル、そしてスプーン。
 
「タコスのための器ということは特別に意識せず、サイズなどの大枠の指定以外は自由に作らせてもらった」と話すように、グレーをベースにしたプレートやモルカヘテ、ほどよいサイズのショットグラスは幅広いシーンで活用できそうだ。 
 
「タコススタンドは料理中にレードルを置いたり、食卓からは離れますがカード立てなどにも使えます。ショットグラスは小さな花瓶にしたり、ピンチョスなどの楊枝にささったフードをサーブしても。モルカヘテはディップのほか、ちょっとしたお総菜を盛ってもいいですよ」と次々と使い方のアイデアが浮かぶ。スプーンは食後のデザートに使ったり、箸やカトラリー置きとして使ううのにも程よいサイズ。

自由な器でテーブルを遊ぼう

器とアート、現代のものと古いものの間に、ひょうひょうと佇んでいるような作品は、かつてギリシャ神話の世界に想像の翼を広げ、絵画や版画などのバックグラウンドをもつタカノミヤさんならではの感性が反映されたもの。
 
個性的でありながら、組み合わせのバランスによって見え方がさまざまに変わり、幅広いコーディネートのアクセントとして彩りと変化を添えてくれる器。実用一辺倒ではない、自由でおおらかな精神が、テーブルに豊かな遊び心を添えてくれる

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