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ファッション通販【ELLE SHOP】 エル・ショップ

『エル・デコ』が注目するアーティスト、KAZUKIを知るための10のストーリー

2024.07.09

自宅を幸せな空間にアップデートしてくれる、楽しくて美しい「インテリア・アート」の取り扱いをスタートした「エル・デコ ショップ」。今回は、家具やオブジェとの親和性が高い作品が評判を呼ぶアップカミングなアーティストKAZUKIにフィーチャー。自然から着想を得ることが多いという作品に込めた思いや、日々の生活について、10のストーリーでひも解く。

『エル・デコ』が注目するアーティスト、KAZUKI

膨大な数のファッション・インテリア雑誌やアートブックが本棚を埋め尽くすクリエイティブな家庭に育ち、気づいた時にはキャンバスに色をのせるようになっていたというKAZUKI。いつしか家族の誕生日や記念日には絵を描いてプレゼントするのが習慣になり、「自分のアートがリビングに飾られるのを見るのが、とてもうれしかった」と当時を振り返る。

大学卒業後は、アートの本場に一度は身を置いてみたいという気持ちがあり、単身ニューヨークへ。現地ではアーティストのためのレジデンスに住んで絵画を描き、音楽をつくり、ギャラリーに通い詰めるなど、文字通りアート漬けの日々を送る。活気に満ちたニューヨークのアートシーンを体感したKAZUKIが帰国後に力を注いだのは、音楽だった。作詞作曲を自身で手掛け、衣装や映像も全てセルフプロデュースし、パフォーマンスを披露すると、その活躍を目にしたファッションや音楽業界の関係者から仕事の依頼を受けるようになり、アートディレクターやスタイリストとしてのキャリアを築いていった。

「過去の全てが今の自分を作っていて、その全ての時間に“アートを描くこと”がいつもそばにあった」と彼女は語る。人生のどんな瞬間も変わらず続けていることが、アートなのだ。

そんな彼女の転換点となったのが、自宅で過ごすことが増えたコロナ禍のある日だった。KAZUKIがアート制作していたところ、インテリアや空間のデザインを専門とするご主人が、その作品とインテリアの親和性に着目。ギャラリーではなくインテリアショップで個展を開催することを提案した。こうして2022年に実現した初個展『Living Art』は好評を呼び、今年3月の『Living Art Vol. 2』へとつながった。展示された作品はほぼ完売、今はクライアントの思いを作品にする「オーダーメイドアート」も手掛ける。

【1】花、山、湖…すべてがインスピレーション源

KAZUKIの制作を語る上で欠かせないのが、彼女が生まれる前に両親が建てたという自然豊かな相模湖のウィークエンドハウスだ。丹念に手入れされた緑や花々が庭をにぎわせるこの家に、もの心がつく頃から通い、今でも月に1度は週末を過ごす。「時に予想外な花の色の組み合わせやグラデーションからインスピレーションを得ることは多いです」とKAZUKI。

「花を置くように、私が描く絵を飾ってもらいたいという思いもあり、(植物がそうするように)アート自体に呼吸させるようなイメージで描いています」

<写真>梅雨時に実る青梅はライトグリーンからイエローになり、ピンク色のそばかすをちりばめながら、夏の訪れとともに熟していく—自然がつくる、神秘的なグラデーションを着想源に制作した作品。《Living Art / A

【2】光や風、感情が制作のモーションに

下描きはせず、手を動かしながらイメージをふくらませていき、その時に受ける光や風、流れる音楽を、一瞬のモーションにのせる。制作場所は、観葉植物の間から差し込む自然光が心地よい自宅のリビングか、ウィークエンドハウス。色彩と質感を見極めながら、ペインティングナイフを動かし、アクリル絵の具をキャンバスにのせていく。

「インスピレーションを受けると、すぐにそれを形にしたくなるんです。ふと花を見ていたら何かを感じて、キャンバスを手に、描き始めてしまうこともあります」

<写真1>何気なくリビングに花を置き、部屋の新たな魅力に気付かされるような、日常に起きる、色と空間の偶然の出合いをキャッチ。《Living Art / B》(80.3×65.2cm)

<写真2>「優しくて品のいい人の心には、こんな色の世界があって、そこから生まれる笑顔も、その香りもきっとやわらかくて凛としている」。そんな人からあふれる色の豊かさをイメージした。《Living Art / C

【3】アートとインテリアが"生きた"空間が理想

自身のアートを「Living Art(リビング・アート)」と呼ぶKAZUKIは、その由来について「リビングルームのある家は多いけれど、どれだけの人が『リビング=生きている』という名がつけられたこの空間を生かしきれているのか、疑問に思ったんです」と明かし、続ける。「私は、自分の作品が『生きている』と考えていたので、作品を置くことでインテリアに動きが生まれ、家具やオブジェも息をしているように感じてもらえたら、と思いました」

KAZUKI が理想とするのは、アートと空間、暮らし、それから人が、それぞれに「生きて」関わり合う場所。これについて彼女は初個展の際に掲げたステイトメントで、こう述べている。「味わい深いもの、育ちゆくもの、変化し楽しめるものたちが、光を渡し合っている様子を、私は生きている空間と感じる」。そんな思いを抱きながら描かれた作品が、何気ない日常に息を吹き込んでいく。

<写真1>「居心地ってとっても大切」。そんなことを思いながら、土の温かさや葉のやわらかさを感じさせる「居心地のいい」色を使い、ゆるやかな筆の流れで描いた、「エル・デコ ショップ」エクスクルーシブの作品。《Living Art / I

「アート作品を1点飾るだけで、空間が生き生きとするんです」。インテリアの一部として部屋に溶け込んだり、アクセントとして視線を集めたり…。その作品は、それぞれの空間の新たな表情を引き出してくれる。

<写真2>シックな色の中に、強い意思と意図を感じさせる赤色が効いた一枚。「エル・デコ ショップ」エクスクルーシブ。《Living Art / H

【4】制作のエネルギー源は、愛

制作のエネルギー源について聞くと、「愛です」と即答。家族をはじめとした大切な人々や、子どもの頃から触れてきた自然に対する愛を糧に制作してきた彼女だが、最近は、依頼主からの要望をヒアリングする「オーダーメイドアート」を通して、「愛」に対する思いを強くしていると言う。

「『ペットに対して抱く愛情を形にしたい』、『節目の年齢を迎えるので、記念に描いてもらいたい』など理由はさまざまなのですが、どの方からも自分を囲む存在に対する強い愛や、それを『アートという形にしたい』という熱量が感じられ、それぞれの人生に触れているような気分になります」とKAZUKI。「誰かの思いに、自分の思いを重ねて制作することは、自分にとっての生きがいでもありますね」

<写真>「素敵って、自分の色をもっていること」と語るKAZUKIが、自由に、それでいて絶妙なバランスの色づかいで描いた「エル・デコ ショップ」エクスクルーシブの作品。《Living Art / F

【5】ニューヨークと音楽

留学時代に体感した、ニューヨーカーのアートとの向き合い方や情熱は、現在のアート活動にも影響しているという。「ニューヨークでは、みんなでアートを語り合い、お互いの感性を刺激し尊重し合っていました。今も、展示会やレセプションパーティーに来てくださった方と語り合い、感性を分かち合う時間は、愛とアートと人を大切にする私にとって、欠かせません」とKAZUKI。一方、音楽については、頭の中にイメージとして思い浮かべた楽曲や映像、衣装を実際に形にしてきたことは「ゼロから何かを生み出す大きな力を私につけてくれました」と話す。今も制作中は必ず音楽を流すという彼女は、マイクをにぎるように筆を持ち、歌うように描く。「音楽はアートで、アートは音楽。どちらも私の人生に喜びを与え続けています」

【6】毎日何気なく見る場所に飾ってほしい

「作品を購入してくれた方に、『日常生活の中で、ふと目にするとパワーをもらえます』と言われることがあり、とてもうれしいです。だから、家事をしている時に目を向けやすいキッチンや、普段過ごすことが多いリビングの一角に置いてもらいたいですね。キャンバスの側面も作品の一部だと考えていて、こだわりをもって描いているので、この部分も含めて楽しんでもられればと思います」

<写真左>音楽と心が気持ちよくブレンドされた時や、かわいい花瓶にぴったりなお花を生けられた時など、思いがけず元気をもらえるビタミンのような瞬間を作品に昇華。《Living Art / E

<写真右>青い空の下でオレンジ色の深呼吸をしたり、暑い日にみずみずしい果実をほお張ったり、そんなビビッドでさわやかな光景を思い描いた作品。《Living Art / G

【7】インテリアとアートが高め合うこだわりの空間

KAZUKIが「いちばん居心地がいい場所」と語る現在の住まいに、ご主人とともに越してきたのは3年ほど前のこと。築35年ほどのマンションを、ふたりでリノベーションした。壁や床を自分たちで塗装し、部屋中に観葉植物や季節の花々を配置。インテリアはご主人が中心となってコーディネートし、随所にKAZUKIのアートが飾られている。「リビングに何気なく置いていた私の作品を見て、インテリアとの相性のよさに気づいてくれたのは夫」と語る彼女。お互いに刺激し合いながら、理想の空間をつくり上げてきた。

<写真右>毎日目にする色がこんな組み合わせだったら心が踊る…。そんな気持ちを浮き立たせてくれるような色を使い、スタイリングするように制作した。《Living Art / D

【8】初めて心に響いた「ノル」の"スポーレットチェア"

KAZUKIの自宅には、さまざまな時代の名作チェアがそろう。その中でも思い入れの深い一脚が「ノル」のインハウスチーム「Ufficio Tecnico」が1971年に発表した“スポーレットチェア”だ。「真っ白のキャンバスのような佇まいに惹かれました。あとは、私はファッションもすごく好きなので、バックレストに使われた牛革が革ヒモで結びつけられている姿が、ドレスを思わせる点も気に入っています」

【9】暮らしのなかで気にかけるのは、彩りとバランス

アートの制作以外でも、彩りとバランスを大切にするというKAZUKI。幼い頃から両親の仕事の関係で、ファッションの現場を訪れることが多かったという彼女は、「ファッションの色彩感覚に関しては、英才教育を受けていたかもしれません」と笑う。

そのこだわりは、料理にも。取材中、目の前でカルパッチョやカプレーゼなど、次々と色とりどりの前菜を仕上げていく彼女は「食卓が好きなんですよね」と話し、こう続ける。「ワインやお酒にも目がなくて、両親や姉、夫と一緒にワイナリー巡りをすることも多いです。近々の目標は、ワインのエチケットを描くことです」

【10】自宅に勝る場所はない

KAZUKIにとって、さまざまな思い出がつまった居心地のいい自宅は何ものにも変え難い場所。「私自身、大好きな家の心地よさを感じつつ、インテリアにもインスピレーションを受けながら、『Living Art』を描いています」と彼女は言う。

家具やオブジェと共鳴し、空間に生き生きとした動きを与えるKAZUKIの「インテリア・アート」。難しいことは考えず、まずは豊かな色彩で描かれた作品から、自分の感性に触れたものを見つけてみてはいかがだろうか。

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