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MODERN LIVING SHOP REPORT

センスの良い一流のショップを
モダンリビング編集長が全力レポート!

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表参道・青山・外苑前周辺のエリアの好感度なインテリアのショップやショールームの見どころを、私、モダンリビング編集歴20年以上の編集長の高坂敦信が全力でレポート!今回はレイアウト変更を終えた「ノル ジャパン ショールーム」と、LDKから水回りまで、ラグジュアリーなイタリアデザインが揃う「エ インテリアズ|ボッフィデパドヴァ東京」です。9月も中盤にさしかかり、秋の装いに意識を向けたいところですが、日差しの刺さるような強さは変わらず。白のボタンダウンシャツにルイ・ヴィトンのグラフティのスカーフを巻いて、インテリアを楽しむアイデアがたくさん潜んでいる2軒を巡ってきました!
Photo:FUKUKO IIYAMA

No.1

Knoll Japan Showroom

東京・北青山

SHOWROOM

ショールームがプチリニューアル。
名作チェアのアップデート仕様に注目

「God is in the details=神は細部に宿る」は、建築家のルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが語ったとされる有名な言葉。建築や家具のデザインはディテールへの配慮が大切、というような意味ととらえています。彼の家具作品はノルから多く発表されていますが、いずれも名言を体現したものばかり。この他、ショールームに展示されている他の巨匠デザイナーたちの名作家具にも同じようなものを感じます。「ディテールへの配慮」とは何か?それは単に細部ということではなく、パーツ同士の接合箇所の美しさ、素材の組み合わせ方、機能がデザインとして表現されている箇所などだと思います。それでは1925年(なんと約100年前)にマルセル・ブロイヤーが、世界で初めてスチールパイプを用いてつくった「ブロイヤー コレクション ワシリー ラウンジチェア」からレポート!

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座ると優しいイメージに。
エイジングも楽しめる

このワシリーチェアを見ると「ミニマルな建築のリビングやエントランスなどの大きな開口の前に、床や壁のラインと平行に二脚きちんと並べて置いてある」というイメージが浮かんできます。面(シートと肘掛け)と線(フレーム)で構成されたデザインが建築的だからなのかもしれません。唯一無二のデザイン、でも空間になじむ不思議なバランスをもった一脚です。

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緊張感のあるデザインと座ったときの心地よさのギャップが大きいのもワシリーチェアの特徴です。写真のアーム部分に注目してください。腕の肘の置き方に合わせてレザーがたわんでいるのがわかります。レザーの弾性によって座面や背もたれが体にフィットし、包み込まれるような掛け心地です。

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展示の二脚は新色レザーのコニャックとダークグリーン。このチェアは何度となく見て座っていますが、今回初めて気になったのがステッチの幅が広いことです。「こんなに広かったかな」と思いましたが、このざっくりとした感触がレザーの質感と共に指に伝わってきて温かみのようなものを感じました。使うほどにレザーが座る人の形に合わせて歪みエッジが擦れて味わいが増す、エイジングも楽しめる育てる一脚でもあります。

美しいワークスペースを
自宅のLDKの一角に

コロナ禍を経て「自宅にいかに“働く”機能を取り入れるか」ということが課題になっていますが、その答えがこの組み合わせです。ショールームの開口際に置かれた姿は端的にいって美しい。「フランコ アルビニ ミニデスク」はX型の脚部、ガラスの天板に収納部分が浮いているように組み込まれています。チェアは「ミ―ス ファン デル ロ―エ コレクション MRサイドアームチェア」。LDKの一角にワークスペースを設ける場合、使わないときにいかにインテリアになじんでいるかが課題のひとつですが、この組み合わせなら、コーディネートの上質なフォーカルポイントになるはずです。

布張り仕様の座面でより心地よく

個人的に以前からお気に入りの「チェスカ アームチェア」に、シートパディングのバージョン(通常は籐張り)が登場!以前から「布張りのシートがあってもいいのに」と思っていただけに、かなりテンションが上がりました。展示はありませんでしたが、フルパディングバージョンもあるそうです。布張りは座り心地のよさだけでなく、「名作チェアに自分らしさを表現できる」という利点があります。木製フレームと籐の接合部など、スタッフの伊藤勝和さんとのディテール談議は尽きません。

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ショールームを入ると正面に見えるのが、「サーリネン コレクション ラウンド・テーブル」と「サーリネン コレクション・カンファレンスチェア」の組み合わせ。ペンダントライトはフロスのIC LIGHTです。円形テーブルは、合わせる椅子のフォルムをさまざまな角度から眺められるのがポイント。さらに脚部が一本のタイプは立ち座りがしやすいメリットもあります。

いかがでしょうか。スタッフさんの豊富な知識と共に名作家具の魅力をぜひ体感してみてください。

Knoll Japan Showroom
【お問い合わせ】
東京都港区北青山1-2-3 青山ビル1F
TEL 03-6447-5405
営業時間11:00 - 19:00
定休日:日曜
https://www.knolljapan.com/

ショールーム公式サイトを見る
No.2

è interiors | BoffiDePadova_Tokyo

東京・南青山

SHOWROOM

上質なイタリアデザインは
新たな発見が常に見つかる

エ インテリアズ|ボッフィデパドヴァ東京は、著名なデザイナーであるピエロ・リッソーニがインテリアデザインを担当しました。地階1階、地上3階の4フロア構成。彼がディレクターを務める多くのラグジュアリーブランドが一堂に会し、上質なイタリアデザインを堪能できるショールームです。レポートは今回で4回目。展示は前回と比べてほとんど変化はありませんが、それでも新しい発見がありました。最初にレポートするのは、ショールームの同じ場所におそらく2年以上鎮座しているラウンジチェア「ルイジアナ」です。

SHOWROOM SHOWROOM

思わず座りたくなってしまう
ゆったり包容力のあるフォルム

イタリアデザイン界の巨匠、ヴィコ・マジストレッティが手掛けた名作チェア。窓辺に展示されているチェアは、ここを訪れた多くの人が座った味わいのある痕跡があり、久しぶりに座ってみました。やはりいい。ラウンドした見た目以上に体を預けられる包容力は、何度座っても変わることはありません。脚部が珍しくキャスターになっているので、改めて注視すると、メカメカしさがなく実に本体になじむようにデザインされていて、機能とデザインの融合に見惚れました。これ以上、座っていると寝てしまいそうなので次のレポートへ。

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今、おすすめしたい
ダイニングテーブルの理想形

ここ2、3年でもっとも注目されている日本人デザイナーの一人といえる大城健作さん。インテリアズのオリジナル家具のデザインも手掛けていますが、このテーブルはイタリアの家具ブランド「クリスタリア」から発表したものです。私が思うダイニングテーブルの理想形というものがあって、それが「立ち座りしやすいように脚部が中央にあり、ダイニングキッチンをやわらかな印象に見せるオーバル型の天板」。この「ホロ」は理想を見事に体現しています。脚がよく見えるように撮影しましたが、安定感があり彫刻作品のようなフォルムもぜひ注目していただきたいポイントです。

SHOWROOM

細部のデザインのクオリティが
全体の風格を生むキッチン

モダンリビングで取材するラグジュアリーな住宅事例でもよく採用されているボッフィ。キッチンのトレンドを牽引するイタリアのキッチンブランドです。壁面収納に注目してみました。ガラスの扉が付いたスペースは「見せる収納」といえますが、ディテールがとても美しかったです。ガラスの扉が黒いラインで縁取られていて、ディスプレイされたものが額に収まっているように見えます。取手は直径6㎜程度の丸棒で目立ちません。このディテールへの執着が積み重なって、ボッフィならではのラグジュアリー感をもたらしているのだと改めて感じました。

SHOWROOM

塗装では表現できない
「藍染」ならではの風合い

ボッフィの重厚なアイランドカウンターにコーディネートされていたのが、このショールームを運営するインテリアズオリジナルの「SWEEPY AI」。アイテム名のとおり、日本の藍染で有名な徳島の藍を使ってフレームを染色しています。ボッフィの大理石の天板にも負けない素材感。独特の風合いはぜひ実際に見て触って実感してください。

いかがでしたでしょうか。イタリアデザインは色、素材、ディテールにさまざまな工夫がこらされ、見逃してしまうことも。また、新たな発見を求めてここに再訪をしてみたいと思います。

エ インテリアズ|ボッフィデパドヴァ東京
【お問い合わせ】
東京都港区南青山4-22-5
TEL 03-6447-1451
営業時間10:30 - 19:00
定休日:水・日曜
https://www.interiors-inc.jp/

ショールーム公式サイトを見る

次回はリニューアルした「ニチエス 東京」と「カンディハウス東京ショップ」をレポートします。それでは約1カ月後に!

AUTHER-FACE

モダンリビング編集長
高坂敦信

こうさか あつのぶ

1996年婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)入社。2001年より『モダンリビング』編集部に在籍。インテリア企画を中心に誌面全体のビジュアル面を監修。個人邸のインテリアスタイリングビジネスにも積極的に携わる。副編集長兼クリエイティブディレクターを経て現職。