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MODERN LIVING SHOP REPORT

センスの良い一流のショップを
モダンリビング編集長が全力レポート!

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ショップはプレゼンテーションの場です。各ブランドやショップのコンセプト、あるいは世界的なトレンドを日本の市場に合わせてどのくらいの匙加減で取り入れるかなど、試行錯誤の結果が表現されています。商品のバリエーションを展開するだけの場ではありません。しかし、一般の方々がそれを見てもすべてを気づくことを難しいでしょう。そこでモダンリビング在籍20年以上、スタイリングも手掛けている私、編集長の高坂敦信がもの選びやコーディネートのヒントなどなど、ショールームのコーナーやアイテムに隠された情報を掘り起こして皆さんにお届けします。今回は初のリポートとなるカンディハウス東京ショップからスタート!
Photo:MASANORI KANESHITA

No.1

CondeHouse TOKYO SHOP

東京・南青山

SHOWROOM

ワールドワイドな展開に早くから目を向けた
日本の木工家具メーカーの先駆け

骨董通りと表参道の間、青山の中心にあるカンディハウス東京ショップ。カンディハウスは北海道の家具の名産地である旭川に1968年に創業した老舗です。創業者の長原實氏は家具職人。63年に渡欧し、ドイツで家具のデザインと製造を学びました。旭川ではIFDA(国際家具デザインコンペティション)を33年に渡り開催していますが、運営の中心的な家具メーカーになっているのもカンディハウス。1980年にはアメリカ・サンフランシスコに出店するなど、海外にいち早く目を向けた家具ブランドです。

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今回、いちばん気になったのが2階にあったダイニングセット。木の家具は質感や手触りなど“温かみ”に惹かれるのですが、このテーブルとチェアはさらにモダンさと個性を併せ持つ非常にバランスのとれた組み合わせ。サン ダイニング チェアはAラインの脚部が特徴。ドイツ人デザイナーのミヒャエル・シュナイダーが手掛けました。デザイナーの感性を機能とデザインのバランスをとりながら適正価格で形にできる経験値の高さはまさにカンディハウスならでは。通常、ダイニングチェアはテーブルに複数並べて置くわけですが、4脚並べてもデザインが主張しすぎずすっきり見えます。背もたれは肘掛けも兼ねていて、この傾斜が“肩肘張らずに”自然と肘を預けてくつろげる、座ってよし、眺めてよしの逸品です。

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カンディハウス・アクタス・コクヨ・デザイナー倉本仁氏の4者がコラボレートして生まれたのがこのFOUR。テレワークはコロナ禍が落ち着いた今でもライフスタイルのひとつとして定着しましたが“家以上、オフィス未満”の適切なデザインが求められています。その理想の一つがこのチェアです。住まいにワークをインストールするには見た目のバランスをまず重視。家ではある程度のリラックス感はほしいもの。特に背もたれは椅子の個性を物語る顔です。木目の美しさを生かした背もたれはリラックス感を与えるだけでなく触れる度に木の質感を感じられます。ここでは一枚板のテーブルとコーディネート。まさに自宅ならではの贅沢なワークスペースです。

SHOWROOM

東京店 マネージャーの北浦涼さんが座るのはキャスターなしのタイプ。リビングの一角に置くとお子さんが椅子で遊ぶこともあるので、キャスターなしのタイプが安心です。また、キャスターがないと“オフィス感”が緩和される効果も。上の写真では脚部はマットブラックでしたが、こちらはクロームメッキ。冷たい印象を受けそうですが、床が写り込むのでむしろ存在感が薄れます。「ここでは壁面収納の延長にワークスペースをつくる提案をしました。木の背もたれは見た目の印象もやわらか。テレワークは家族にとって新たなスペースです。違和感のないよう存在感のあるチェアにはデザインの配慮が必要です」。北浦さんのコメントから多くの学びがありました。

低めのチェアとテーブルの組み合わせ。私の身長は172㎝ですが、これは腿の裏に圧迫感がなく、手をテーブルに置いても肩と肘に負担がありません。極めて自然に楽な姿勢で食事やテレワークなどの作業ができることが容易に想像できます。東京店 リーダーの飯沢未来さんが「女性やお年を召した方にも人気」とコメント。座面が広めなので斜め座りもできますという説明を受けて体の角度を変えてみるとこちらも非常に快適でした。短めの肘掛けのデザインが立ち座りのしやすさも実現します。

カンディハウスは6月にショールームを大幅リニューアルする予定です。ここで紹介しているアイテムはすべて継続して展示されます。次回はリニューアル後のショールームで、ソファを含むリビングシーンをレポートしますので楽しみにお待ちください。

カンディハウス東京ショップ
【お問い合わせ】
東京都港区南青山5-4-46 1-2F
TEL 03-5931-1188
営業時間11:00 - 18:00
定休日:水曜日(祝日の場合は営業)
https://www.condehouse.co.jp/

ショールーム公式サイトを見る
No.2

è interiors | BoffiDePadova_Tokyo

東京・南青山

SHOWROOM

素材の表情を生かした
ラグジュアリーなアイテムの数々

イタリアのラグジュアリーブランドを多数擁するエ インテリアズ|ボッフィデパドヴァ東京。今回のリポートでは、ここ数年トレンドになっている“素材感”を生かしたアイテムに注目したいと思います。よく素材感を生かしたデザインと聞きますが、例えば木であれば木目をあえて強調することや、天然大理石の模様を生かしたり、素材のエイジングを楽しめることです。これらに共通するのは“既製品であっても、素材によって一つ一つ微妙に表情が異なるオリジナル感”、そして“素材感があることによってインテリアに深みが生まれリラックス感も生まれる”ということ。このショールームでも多くの魅力的なアイテムを発見できました。

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キッチンにラグジュアリーを備えながら素材感をいち早く取り入れたのが、イタリアのボフィ。10年以上前、ミラノ・デザイン・ウィークで古材をカウンターの一部に取り入れたキッチンを見たときの衝撃は今でも鮮明に覚えています。このキッチンは大胆な柄の大理石をカウンターに使ったタイプ。シンクの中まで大理石で、しかも排水溝の部分も石の柄を合わせている徹底ぶり。このこだわりがキッチン全体の佇まいを変えるのです。

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円形のテーブル、ノーツ+レイジースーザンとチェア、エラ チェアの組み合わせ。天板中央の小さな天板には赤とグリーン、白が混じった希少な大理石が使われています。テーブルとチェアは極めてミニマルなデザイン。しかしこの大理石が加わることでダイニングシーンにグッと奥行きが感じられます。天板の木目がシンプルなこともこの大理石が引き立つ理由です。ダイニングセット周辺のアイテムにも注目を。ペンダントライト、オープン棚、キッチンのラインの細さ、デザインのシンプルさが揃っているのがわかりますか。ダイニングセットには5つの異なる素材が使われていますが、周辺の家具の色やミニマルの匙加減、素材感のある小物を取り入れ、空間全体でコーディネートのバランスをとっています。単体だけでなく視野をその周辺まで広げること。これがポイントです。

天然石をモダンな建築にラグジュアリーに取り入れるなら、現状ではこのサルヴァトーリの右に出るものはありません。そう断言できるほど“建材とプロダクト”の中間をバランスよく表現しています。例えばクローズアップした写真では、2種類のパーツをランダムに組み合わせていますが、石の模様が穏やかだからこそ煩雑にならず、モダンな住宅に取り入れることができます。完成度の高いものほどあまり意識せずにサラッと見てしまいますが、それは完成度の高さの証です。

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最後に紹介するのは建築家、榊田倫之氏がデザインしたSUKIソファ。脚部と側面に使われているのはスチールの古美色仕上げ。経年変化したような味わいがあります。ヴィンテージ加工を施したラグとの組み合わせが絶妙です。ソファの背後に見えるのは同シリーズのテーブルで、デザインを揃えてすっきりとした印象に。ガラスのパーツでできたペンダントライトを合わせることでコーディネートに奥行き感が生まれています。ガラスのランプ、特に透明のガラスを使ったデザインはコーディネートの幅が広く、インテリアのアクセントを簡単につくることができる便利なアイテムです。

エ インテリアズ|ボッフィデパドヴァ東京
【お問い合わせ】
港区南青山4-22-5
TEL 03-6447-1451
営業時間10:30 - 19:00
定休日:水・日曜日
https://www.interiors-inc.jp/

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No.3

FRITZ HANSEN TOKYO

東京・南青山

SHOWROOM

フリッツ・ハンセンは北欧の名作を扱う代表的なブランドですが、名作の復刻や若手デザイナーの起用、素材や色のバリエーションの追加など、常にアップデートを繰り返しています。
名作による地に足の着いた佇まい、新作家具によって今の空気を取り入れること。両者の組み合わせのバランスによって、落ち着きと洗練さを備えたインテリアが完成します。

SHOWROOM

1階のエントランスを入ると正面にあるのがソファコーナー。フリッツ・ハンセンがイタリア人のデザイナー、ピエロ・リッソーニを起用した革新的なアイテムです。発表されたのは10年以上前で、その当時はあまりのかわいらしいデザインに「デザイナーがリッソーニ!?」と驚きと同時に違和感がありました。しかし今となってはすっかり定番となり、継続して人気の高いアイテムになっているそうです。背もたれと座面をずらしているのがこのソファの魅力。これがあることで、デザインが単調になりすぎることがありません。ここでは線の細いサイドテーブルとセンターテーブルを合わせてポップになりすぎないようにバランスをとっています。

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ソファコーナーの背面に写っていたのがこのダイニングセット。アナログテーブルとドロップチェアを組み合わせています。実際に住まいにソファコーナーとダイニングを同じ空間に置くことができるコーディネートです。ポイントは二つあって、一つはアナログテーブルの脚の太さとアルファベットソファの“ボリューム感”があっていること。もう一つがドロップチェアとアルファベットソファの“塊感“が合っていることです。色と素材以外にコーディネートのポイントはいくつもあります。それとは別に注目したいのが天板の形。オーバルでもなく長円でもなく、六角形でもないこの独特の形がスクエアになりがちなダイニングキッチンの印象を和らげてくれます。そして、床のフローリングに対して斜めにずらして配置していても、ドロップチェアのカーブとの相乗効果でバランスが取れています。このテーブルとチェアの組み合わせは一見、個性的。しかし、コーディネートの幅を広げる懐の深さを備えています。

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1936年に発表されたカイザー・イデルシリーズのテーブルランプ。レトロな雰囲気のスイッチに歴史を感じます。まるでヴィンテージアイテムのような佇まいは金属部分に真鍮素材使っているから。あえて経年変化しやすい仕上げにすることで新品とは思えない味わいが生まれます。ヴィンテージと新品の中間的な存在。こういったアイテムがソファサイドやデスクにあることで場に落ち着きが生まれるはずです。

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最後にビッグニュースを紹介!あのアントチェアにパディングバージョンが登場しました。セブンチェアではすでにこのバージョンが発表されていますが、名作アントチェアにもついに。待ちわびていたファンも多いのではないでしょうか。早速座ってみると…。とても良い感じです。スタッフの赤神奈々星さんからエッジの美しさについて指摘があり、じっくりと見てみると、モデル名の由来にもなっているくびれの部分など精密に木部の出幅が揃っています。パディングの良さは、①薄いのにかけ心地が良い②ファブリックによる摩擦力で滑りにくく、体がしっかりフォールドされる③自分好みにファブリックを選べるといことでしょうか。1952年に発表された名作が70年の時を経てアップデートされ、新たな表情が生まれました。このアップデートを受け入れられるフレキシビリティを備えているのが名作の証です。

フリッツ・ハンセン 東京
【お問い合わせ】
東京都港区南青山 2-27-14 1-2F
TEL 03-3400-3107
営業時間11:00 - 19:00
定休日:無休
https://www.fritzhansen.com/ja/

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AUTHER-FACE

モダンリビング編集長
高坂敦信

こうさか あつのぶ

1996年婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)入社。2001年より『モダンリビング』編集部に在籍。インテリア企画を中心に誌面全体のビジュアル面を監修。個人邸のインテリアスタイリングビジネスにも積極的に携わる。副編集長兼クリエイティブディレクターを経て現職。