床座のように落ち着きのある心地よさをもたらす「DANISH SOFA」。シンプルながらパーツを組み合わせることで、立体的なソファコーナーを演出します。視線のヌケの妨げにならないので天井の低いマンションにもおすすめです。シートの堅さを2パターンから選べるのもうれしいところ。

インテリアの購入やリフォーム、家づくりを意識したらまずショールームへ。ショップやショールームはスタッフによっていつも整えられ、大小さまざまなインテリアを楽しむアイデアにあふれています。特にショールームが集まる青山周辺は、効率的に情報を手に入れられるエリア。モダンリビング編集部在籍20年以上、編集長の高坂敦信が月に1回のペースでショールームの最新情報をお届け!インテリアを楽しむヒントを見つけてください。
Photo:MASANORI KANESHITA
| No.1 |

外苑前の裏通りにひっそりとたたずむビルの一角。ここはウォルナットの家具を中心に展開する日本のブランド、マスターウォールのショールームです。以前、モダンリビングが展開するインテリアコーディネートサービス「MLスタイリング」で、ベッドを特注したことがあり、その時から信頼のおけるブランドであると感じていました。 アイテム構成はウォルナットを使用した家具が中心。この材を使った家具は他にも多くありますが、1点1点をじっくり見て試してみると何かが違う。スタッフの方から説明を受けて合点がいきました。注文を受けてから日本のファクトリーでデザインに合わせて原木から最適なパーツを切り出して製造しているそう。その見極めの経験値の高さとデザインセンスの相乗効果で、家具から「オーラ」を感じたのだと思います。また、マスターウォールでは4つのカテゴリーにウォルナットを分類。廃材の量を極力減らす努力をし、資源の無駄使いをしないように取り組んでいます。スタッフさんの会話から、単に商品紹介だけでなく、背後あるストーリーを知ることができました。それがアイテム一つ一つの価値を高めているのだと思います。

床座のように落ち着きのある心地よさをもたらす「DANISH SOFA」。シンプルながらパーツを組み合わせることで、立体的なソファコーナーを演出します。視線のヌケの妨げにならないので天井の低いマンションにもおすすめです。シートの堅さを2パターンから選べるのもうれしいところ。

3つの素材を巧みに組み合わせることでウォルナットの新たな魅力を表現した「YU UC4 DINING CHAIR」。デザインがシンプルなため、数脚並んでいても煩雑な見た目にならないように配慮されています。レザーをフレームに留める金具から感じられるクラフトマンシップ。実際に座ってみるとハリのあるレザーとラウンドしたフレームが体をサポートしてくれて絶妙でした!

今回アテンドしていただいた、マスターウォール 青山、副店長の下村和輝さん。レザーのソファに、ファブリックサンプルを設置してイメージの違いをご案内いただきました。ファブリックサンプルが大きく、シートの形に合わせてくれるのでとても想像しやすかったです。

壁にはウォルナットの「シロタ」と呼ばれる白い部分をランダムに組み込んだウッドパネルを壁面に使った書斎コーナー。副店長の下村和輝さんが「YU UC4 DINING CHAIR」と「KAKTAS DESK」をコーディネートしてくれました。直線を強調したデスクとラウンドしたフォルムのチェアは相性抜群です。奥行きは40㎝でちょっとしたスペースに収まりそう。木の質感を体感しながらテレワークもできます。
今回は紹介しきれませんでしたが、ショールームではウォルナットを使った小物も多数展示。ベッドコーナーもあり、トータルでインテリアを楽しめます。ウォルナットを知り尽くしたマスターウォールが手掛ける「オーラのある家具」をぜひとも体感してみてください。
| No.2 |

フリッツ・ハンセンといえばアルネ・ヤコブセン、ポール・ケアホルムなど北欧デザインの黄金期を築いた著名デザイナーの作品を多数展開するデンマークのブランド。外苑西通り沿いにあるFRITZ HANSEN TOKYOは、建築家・隈研吾さんが手掛けた建築の1・2階にあります。北欧といえば名作チェアを思い浮かべますが、今回のショールーム紹介ではテーブルにフォーカス。テーブルが暮らし方のバリエーションを演出しています。
ショールームの入り口で出迎えてくれたのは、コンパクトな「EGG™ TABLE」。モデル名のように天板が卵型になっているのが特徴です。こういった置く方向を制限しないデザインは本当に使いやすいと思います。幅は1150㎜とかなりコンパクトですが、大人3人でも十分なサイズで、食事を楽しむことも。マーケティングマネージャーの名取大輔さんに実際に座っていだきました。どの商品が人気ですか?とたずねると「このテーブルはかなり動いていますね」と即答。アイランドキッチンとリビングの間に置くと空間に動きが出て生活動線もスムーズになると思います。

ここ数年、マット仕上げの金属パーツが大きなトレンドになっていましたが、個人的にグロッシーな仕上げに注目しています。特に「FH3605™」に目が留まりました。「ヤコブセンのテーブルといえば脚の美しさですよ」と名取大輔さん。先端に木製パーツを使用した、たいへん美しい仕上げでほれぼれしてしまいました。

マニアックなランプを発見! これはデンマークのデザインスタジオ、エルム&ルンドが手掛けた「CLAM™」。素材はオパールガラスと真鍮の組み合わせで、上下2枚のシェードを開くことでソフトな光が隙間から漏れる仕組みです。真鍮のパーツがアクセントになり、点灯しなくてもオブジェのような美しさでした。

こちらはショールームの2階。「定番はやっぱりいい」と再認識できます。エクステンション可能なテーブルは「B620」。天板は1700から2700㎜で2段階に伸長し、椅子を8脚まですっきり置くことが可能です。椅子「3107」通称セブンチェアは超ロング&ベストセラーの名作であり、椅子に詳しくない人でも「どこかで見たことのある椅子」というレベルまで達しています。とにかくバリエーションが豊富。シートやフレームの色や素材を変えてもまったく違和感がないのはデザインが完成されているからでしょう。個人的には左のシートのみが布張りになっているタイプがおすすめ。ダイニングは椅子を後ろから見ることが多いので背面の木目が美しく、座る側は自分好みのファブリックを選べ、掛け心地が良いこのタイプがベストでしょう!
自然光が降り注ぐ美しい空間で北欧の名作家具に触れられるFRITZ HANSEN TOKYO。ホームユースだけでなく、オフィスにも使用できるフレキシブなデザインであることもこのブランドの大きな魅力です。オフィス開設を検討している人もぜひ立ち寄ってください。
| No.3 |

根津美術館の斜迎え、通りからスリット窓で内観がチラ見えするのが、イタリアデザイン界の巨匠、ピエロ・リッソーニがインテリアデザインを手掛けたエ インテリアズ|ボッフィデパドヴァ東京。このショールームの魅力はキッチンのトレンドをけん引する、ボッフィとともにイタリアデザインの真髄を体現するブランドが展示されているということ。LDKが一体化する間取りが当たり前になっている状況で、実際の住空間に近い空間を体験できることは、とても参考になると思います。

ショールームは地下1階から地上3階までの4フロア構成ですが、1階に入って左手にあるいかにも座り心地が良さそうなソファに引き寄せられました。20年以上、モダンリビングに在籍していますので、ソファのかけ心地は見ただけでだいたい予想はつくのですが、これは想像以上でした。「GREENE SYSTEM SOFA」はリビング ディヴァーニ製。座り心地の良さを感じさせるのがラウンドしたシートです。体がゆっくりと沈み込むシートをレザーのフレームが包み込む構造。このラウンドしたフォルムは見た目にもリラックス感をもたらしてくれます。壁際に展示されていますが、ラウンドしたレザーは後ろ姿もきっと素敵。空間の中央に置いても絵になりそうです。

ディテールの美しさが光るのがオリジナルブランド、by interiorsの「MUK」です。
デザイナーは日本人でイタリアを拠点に活躍する大城健作さん。素材に使われているアルミは内部がハニカム構造になっていて、比較的軽量でありながら耐久性も申し分ありません。支柱と棚板のジョイント部分はノイズがなく、細部に配慮された建築物のような趣さえ感じさせます。ストレートタイプもバリエーションとしてありますが、個人的なおすすめはこのラウンドタイプ。壁とシェルフの間にデッドスペースが生まれますが、実はそれが住空間に置くと重要なポイントに。空間にゆとりが生まれ、よりリッチな印象になります。
LDKが表現された空間構成。左にちらりと見えるのがダイニングエリアで、リアリティがあってとても参考になります。現在のライフススタイルや間取りを考えると、もっとも適しているのがこの「EXTARSOFT CONTENITORI」ではないでしょうか。ソファはテレビだけに対面するのではなく、ダイニング、キッチン、景色にも対面します。家族のコミュニケーションもそれぞれが同じ空間を共有して意識しながら別の行為をするということが一般的になり、それがコロナ禍によってより加速しました。写真のとおり、このソファは四方に座ることができるすぐれもの。キッチンやダイニングがコミュニケーションの場として存在感をより大きくなっていますが、このソファは暮らしの中心の場になる魅力をそなえています。
ショールームではラグジュアリーな建築に欠かせない上質な壁材も展開しています。見どころはまだまだありますが、また次回に!