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素材や縫製、シルエットにこだわったアイテムで、多くの女性に愛される「カレンテージ」。2024年春夏は、ビンテージのミリタリーアイテムからイメージを広げ、モードにアップデートしたコレクションを展開しています。ディレクターの塚崎 恵理子さんがその魅力を解説します。
「昨年の春にイギリスを旅したときに出会ったビンテージのミリタリーアイテムやハンドクラフトアイテム。時代をこえて受け継がれた洋服の強さ、着ていた人の面影を感じさせるチャーミングな佇まいに魅了されました。その後旅したドイツでは、物価の上昇やストライキなど、ウクライナとロシアの戦争に伴う影が随所に。ドイツという国の歴史も相まって、難民問題や反戦を訴えるアートを鑑賞する機会も多く、それらは心に深く響くものでした。今ではファッションの世界に欠かせないミリタリーアイテムですが、今だからこそ「ファッションとして表現したい」と思い、コサージュやフリルで飾ったり、モードな素材感に置き換えてつくったり、自由なムードでデザインしています」。
「まずは、日本の老舗コサージュ工房で一点一点ていねいにハンドメイドされたコサージュをあしらったジレ。コサージュは取り外し可能で、レザーでできたカーネーションモチーフと、共生地やラッフルテープでできたフラワーコサージュの2点がつきます。取り外して手持ちの服やバッグに付ければ、スタイリングの幅がさらに広がって。ジレは適度な光沢があるモードな雰囲気の素材を用い、単体で着てもサマになります。ウエストを絞って着られるシルエット、凝ったポケットのデザインなど、随所にモダンなアクセントが。パンツには取り外し可能なラッフルフリルの紐ベルトをプラスしています。シルエットが非常に美しいパンツなので、ベルトの有無でスタイルチェンジをお楽しみください」。
「こちらは、UKミリタリーの砂漠用につくられたカモフラージュ柄コートがデザインソース。砂漠の夕暮れのような美しい色合いのピンクカモフラージュ。あえてカモフラージュが溶けたようなイメージにしたくて、伝統的な籠染という手法で桐生の職人さんに一点一点手染めしてもらい、なんともいえない淡く美しい色合いに仕上げてもらいました。さらにアーティなイメージに仕上げるため、フロントの下前にハンドペイントをさりげなくプラス。軽い素材感でさらっと羽織れて、フードも取り外し可能です」。
「ピンクカモフラージュの生地でラップスカートも製作。フロントのカッティングが特徴的なこのアイテムは、1枚で着るのはもちろん、パンツなどの上にレイヤードするのも楽しいシルエットです。片サイドにあしらったホワイトのハンドペイントがさりげないアクセント」。
「イギリスで見つけたビンテージの子供用3ピース。ボタンがところ狭しと縫い付けられた装飾が美しく、魅了されました。そのアイテムをきっかけに初めて知ったパーリーキング、パーリークイーンというイギリスのチャリティ団体の伝統衣装。道路清掃員をしていた男性が、拾った貝ボタンで自らの服を装飾し、孤児院や病院にいる子どもたちのためにチャリティ活動をしたのが始まりといわれています。このジレは、そのハートウォーミングな文化を持った伝統衣装をデザインソースにし、フラワーモチーフを貝ボタンでデザインしたもの。子供が成長したあとでも着られるよう、ベルベットを背中心につぎ布したチャーミングなディテールもそのまま落とし込んでいます」。
「存在感のあるデザインなので、インナーの上に羽織っても素敵ですし、ルックのようにジャケットなどにインしてもポイントになります。羽織っている大きなラッフルフリルのブラウスは、シャーリングを贅沢に施したボディで、フロントを閉じて着ても存在感のあるロマンティックな一着。写真のように真夏には羽織としても活躍しますし、コットンオーガンジーの軽い素材感は季節を問わずに使えます」。
「軽い素材感でいうと、こちらのラッフルフリルのシリーズもいつものワードローブにプラスワンするだけで鮮度がアップします。カラーグラデーション状になったラッフルフリルを縫い付けた素材は、インドにてオリジナルで製作。ルックのようにシャツやトレンチコート、ミリタリージャケットの上に、また暑い時期にはTシャツの上にと、季節を問わずアクセサリー感覚で使えます。ルックでインナーに着た同系色のムラ感がきれいなシャツは、コットンのシャツ素材をスプレー染めしたアイテム。こちらも一点一点職人さんがスプレー染めを施しており、表面だけがきちんと染まり、裏側が白く残るのがポイントです。バイカラー風に裾をまくったりチラ見せしたりするのも、抜け感があって素敵。ミリタリーなどのややカジュアルなアイテムにあえて少しフェミニンな軽い素材感をプラスするのが気分です」。