2023.2.8

心の自由を解放する“アーバンヒッピー”な服。話題のブランド「ニアー ニッポン」が初登場

By　「ニアー ニッポン」デザイナー　深山 拓也さん

ベーシック×モードをベースに、国内外の上質な素材を用い、新しいバランスやシルエットの中に美しさと強さを持った服づくりを目指す「ニアー ニッポン（near.nippon）」。こだわりのオリジナルファブリックとディテールが織りなすアイテムは、他にはない美しさとかっこよさが共存します。この春夏シーズンよりエル・ショップに初登場となった同ブランドの魅力を、デザイナー深山 拓也さんがご案内。

【About Brand】
「ブランド名は、相反する要素を“近づける”という意味。“日本人としてのアイデンティティ”を表し、デザインの過程において「フェミニンとマスキュリン」「エレガンスとカジュアル」といった対比する要素の接点をていねいに探っていくことを軸にしています。オン・オフ着用できるプロダクトを探求し、ビジネスシーンにおける自己表現、日常生活におけるクリエーションをテーマにしたブランドです」。

「2023年春夏コレクションのテーマは“フリーマインド”。制限された生活を強いられてきた現在、さまざまな思いが交錯するなかでも、自分なりの自由や希望をあらためて感じ取って歩んでいきたいという思いから、このテーマを掲げました。自由というキーワードから、70年代のヒッピーに着想を得ましたが、「ニアー ニッポン」のコンセプトとして“オン・オフ着用できる”という二面的な考えが核にあるため、ヒッピーといっても土臭いスタイルでは無く、都会的なヒッピー“アーバンヒッピー”として表現しています」。

「リネンの産地、東ヨーロッパのリトアニアで織られたオリジナルのリネンチェック。化学繊維の機能とは縁のない、亜麻からつくられる自然素材を製作し続けているメーカーのサステナブルな生地です。このジレは、襟元から深めに入ったスラッシュがボックスシルエットにシャープさを加えているため、エッジの効いたコーディネートが可能。アームホールはかなり深めに設定しており、肌寒い時期には厚手のニットにも重ねられて、長い期間で着用できます。お手持ちのベルトなどでウエストマークすれば、メリハリの効いたスタイリングに」。

「こちらのボトムも、プルオーバージレと同じくリトアニアリネンを使用。ワンタックのかっちりとしたテーパードパンツも、気張らないリネン素材でつくることで日常的なアイテムに落とし込んでいます。腰まわりやシルエット全体のゆるみが、こなれ感を演出。ビジネスライクにならないシルエットで、抜け感をお楽しみいただけます。落ち着いたニュアンスカラーは、プリントものとも相性よくコーディネート可能。また、ぱきっとしたブラックやビビッドカラーのアイテムと合わせても、穏やかで優しい印象に仕上げてくれます」。

「シャツディテールを取り入れた、ワンピース感覚で羽織れるコート。ハリと弾力性を併せ持ったバーバリー素材を使用して、丸みのある立体的なシルエットを構築しました。シンプルながらインパクトのある一枚です。シワになりにくくへたらない生地は緻密に織られた中肉素材なので、肌寒い時期から春先までしっかり着まわせます。袖には深いスリットを配し、袖口のボタンを外して着用すれば、エッジの効いたシャープなスタイルが完成。優秀な素材感、デザインポイントを兼ね備えたアイテムです」。

「こちらは、ふっくらとした肉感が上品なノーカラージャケット。生地は、イタリア「マンテコ」社製の70％リサイクル、30％オーガニックコットンでつくられたサステナブル素材。リサイクルのGRS認証、オーガニックのOCS認証を持つ、トレーサビリティが明確な素材を直輸入しています。適度な厚みがありながらとても柔らかく、優しい手触りの高品質コットンです。ジャケットとしてのきちんと感を残しながらも、コットン素材ならではのリラックスした雰囲気があるため、気軽な羽織としてカジュアルアイテムともマッチ。同素材のワイドパンツとセットアップにした、シックなコーディネートもおすすめです」。

「上記ジャケットとセットアップで着用できる、ふっくらとした肉感が魅力のイージーワイドパンツ。生地に弾力があるので、シルエットを立体的に美しく表現。スラックスのような上品な顔も持っています。フロントのセンタープレスにはつまみステッチを施し、立体感と適度なカジュアル感も両立」。

「「ニアー ニッポン」のシグニチャーともいえる、ハンドプリントアイテム。手捺染（てなっせん）プリントとは、日本古来より伝わる型友禅が京都で独自の進化をとげたプリント方法で、ひとつひとつの工程を職人がすべて手作業で丁寧に仕上げていく技法です。表面にインクを乗せるプリント方法では無く、生地に染料を染みこませながらプリントをしていきます」。

»手捺染動画はこちら

※YouTubeに遷移します。

「今シーズンは、優しい色合いの水彩柄をぼかし染色で表現。デザイナー自らが描いた水彩画を手捺染の版に取り込み、その上にモノクロの手描きバンダナ柄を配置しました。強さと穏やかさを併せ持つ柄に仕上がっています。その生地を用いたのが、このイージーワイドパンツ。ゆとりがありながら、軽い落ち感によって、すっきりと見えるシルエットです。なめらかな肌触りが優しいカルゼ素材で、微光沢と透け感もあるので春夏には心地よく着用していただけます」。

「雄大な富士山の麓にある織物の町、山梨県富士吉田市にて作成したオリジナル生地。キュプラは、本来繊維として使用されないコットンリンター（種の周りに付着している、うぶ毛）を100％原料とし、天然原料由来ならではの環境適合性のあるサステナブル素材です。その素材を控えめな光沢が美しいジャカード生地に仕上げ、リラックス感のあるオープンカラーシャツに仕立てました。ほどよい緊張感と抜け感を兼ね備えたこのアイテムは、長めの5分袖のため、落ち着いた雰囲気で着用できます。オーバーサイズながら落ち感があり、ボリュームのあるボトムと合わせてもすっきりとした印象に」。

「どんなトップスとも合わせやすいテーパードの美シルエット。やや薄手のデニム生地を使用し、タックインしやすいゴム始末にしているので、ウエストまわりがごわつかずに着用いただけます。股上は深めですっきりとフィットするハイウエト、ヒップと腿まわりにはほどよくゆとりがあり他にはない新しいシルエットです。体のラインを拾わないリラクシーな着心地で、すっきり見えを実現。ワンウォッシュしているので縮む心配もなく、ご自宅で洗濯が可能です」。

「「ニアー ニッポン」は、ブランドスタート当時より、作り手の責任として、自社で改善できることは全力で取り組むという姿勢でサステナビリティに目を向けています」。