2022.7.9

端正なバランスで描く、大人の秋冬モード。「ザ・リラクス」のNEWコレクションをチェック

By　「ザ・リラクス」デザイナー　倉橋 直実さん

着る人を美しく見せるデザインに定評がある「ザ・リラクス」から、2023年秋冬コレクションが到着しました。今季は“BALANCE”をテーマに、トラディショナルななかに現代的なエッセンスが感じられる、均衡のとれた美しさの表現を追究。新たな定番となるトレンチコートからモードなロングベスト、旬のグルカスカートまで、高感度なアイテムが満載です。同ブランドのデザイナー、倉橋 直実さんがその注目のコレクションをご案内します。

「まずご紹介するのは、「ザ・リラクス」を象徴する新たな定番として継続展開している2型のトレンチコート。共通点はエポーレット・ダブルブレスト・Dリングといったトレンチコートの特徴的ディテールをそぎ落としながら、トレンチコートと認識されるデザインの枠に収め、ポンチョのように羽織れるダイナミックなシルエットを主役にした点です。このトレンチポンチョは、含浸加工を施したウールフランネルを使用した、秋冬にぴったりな素材。裾幅が2m弱あり、一般的なルーズシルエットのなかでもひときわ印象の強い迫力があります」。

「もうひとつのトレンチコートは、トレンチポンチョと比較すると、リアルクローズな要素が少し強くなります。素材は、通年使用できる「ザ・リラクス」の定番素材ウール含浸ギャバを使用。サイズ感（バスト寸や裾幅、着丈）が少しコンパクトになりますが、こちらも充分贅沢なシルエットを感じていただけます。2型ともにボタンで開閉可能な深めのサイドベンツがあり、開けることで軽さや動きを演出。ウエストのベルトは少し低めに設定しており、きつく締めてブラウジングすると分量感が引き立ちます。「ザ・リラクス」をリピートいただいている皆さまにはぜひ一度袖を通していただきたいですね」。

「こちらは、2種類の生地を使用した今季新企画のブラウス。ネックまわりとカフスには「トーマスメイソン」の凹凸感のあるタキシードシャツ用コットン生地を、身頃はコットンタッチの特殊なスパンポリエステルを用いています。身頃の生地は、立体性に優れ、シワ・色落ち・縮みの心配がないイージーケアな素材ながら、天然コットンのようなナチュラルな見た目も両立したもの。一度手にしたら他には戻れないほど持続性のある美しさと実用性のバランスが取れた、とても優秀な素材です」。

「ラグランスリーブでゆとりのあるシルエットですが、肩・袖まわりに余分なシワが入らず、肩からストレートに落ちるバストの抱きも「ザ ・リラクス」らしい仕上がり。袖は女性らしく、かつ現実的な範囲に収まるボリューム感です。フロントはフラットなスクエアシルエット。後ろ身頃の裾にゴムを入れることでバックスタイルにやや丸みをつけ、分量感と素材のハリを生かす表情に」。

「新企画のライナー付きのロングモッズコートも要注目。本体はM51型で、ブランド定番のM65型モッズコートとは違い、フードが本体と一体になっているため、ネックのボリュームはすっきりしていますが、身頃のサイズはバスト寸180㎝弱、裾幅が200㎝ととても大きくダイナミックなシルエットです。袖幅も太めで、軍物のM51のように迫力あるシルエットを踏襲しつつ、こちらもバストと肩まわりは「ザ ・リラクス」らしい余分なシワが入らない設計です。また、起毛感を感じるしなやかなボンディング素材や、軽くて強度のあるキルティング素材をライナーに使うことで着心地も追求。長袖ライナーの中綿は蓄熱性に優れたシンサレートを使用し、冬場も安心です。ライナーは単体でも着用可能。春先や秋口は本体のモッズコートのみで落ち感のあるシルエットを、冬はライナーとセットで迫力のある着こなしをお楽しみください」。

「こちらは、カットソーのダブルフェイスを使用したトップス。カジュアルさと上品さが共存した表面、独特のハリ感と立体感のある裏面からなるこのオリジナル素材は、繰り返しの着用や洗濯でも劣化が少ない、男女問わずファンが多い素材です。シルエットはルーズなラグランスリーブ。袖は少し長めの設計で袖口にタックがあるため、ブラウジングしてボリュームを出していただく想定です。また袖口や、脇のガゼット、襟ぐりの内側、裾の裏バインダーなどのきれいな始末にもこだわっています。シンプルななかに多くの特徴を詰め込んだトップスは、カジュアルなTシャツの枠を超えた上品さが魅力。「ザ ・リラクス」ならではの逸品です」。

「2022年春夏シーズンより新たな定番素材となった“KUURA”を使用したデニムアイテム。タテ糸にオリジナルでインディゴ染色した青みの強い色のコットン、横糸にサステイナブルな工程と原料から生まれた繊維“KUURA”を使用したオリジナルデニム素材です。コットン100％のデニムとは異なり、しなやかな風合いと柔らかな表面感が特徴で、肌当たりも◎。生地の状態でワンウォッシュしてから縫製することで、カジュアルさをできるだけなくし、クリーンな印象に仕上げています。膝から裾にかけてのフレアシルエットは、さまざまな着丈やシルエットのトップスと好相性。ポケットの形状、スラックスをベースとしたパターンも、通常のデニムパンツのイメージと一線を画します」。

「こちらは、「ザ・リラクス」の定番素材、SUPER140’sウール100％のライトメルトンを使用したノーカラーのロングベスト。重厚感のある生地に対し、サイドスリットを深く入れることで足まわりに軽さと動きをプラスし、生地とシルエット形成のバランスを計算しています。ノーカラーのフラットな襟、比翼仕様のフロントボタンなど、ディテールはミニマルに。重厚な素材のみ耐えることができるダイナミックな分量感を生かしています」。

「2022年春夏シーズンから継続型のグルカスカート。引き続き展開のグルカスラックスと同様にイギリス軍のグルカパンツのウエストデザインを落とし込んでフロントはベルトをクロスさせ、両脇のバックルでウエストをアジャストさせる仕様。重厚感のあるシルバーメッキのバックルをアクセントにした、トップスINが映えるデザインです。深めのツータックながら、シルエットは直線的ですっきりとした仕上がり。素材は通年使用可能なブランド定番素材ウール含浸ギャバと、秋冬の新素材であるチクつきのないシェットランド梳毛フランネルの2素材を展開しています」。