2022.1.15

重力を意識した構築的シルエットに注目。「ザ・リラクス」の最新コレクションが到着

By　「ザ・リラクス」デザイナー　倉橋 直実さん

人気ブランドの新作が続々と出そろう今の時期に、まずチェックしたいのが「ザ・リラクス」2022年春夏コレクション。今季は“Gravity”をテーマに、ダイナミックなAラインのコートや立体的なシルエットのブラウスなど、同ブランドが得意とする“着る人を美しく見せる”デザインが満載です。ベーシックかつミニマルなアイテムは、これからの季節の主力アイテム。同ブランドのデザイナー、倉橋 直実さんの解説を参考に、早速チェックして。

「「ザ・リラクス」のものづくりでは、重力を意識した設計という視点を大切にしています。重力を軸にして使用する生地とパターン設計の組み合わせ。そこに矛盾のない服作りが美しいと考えているからです。2022年春夏はその考え方を改めて意識したシーズン。カラーはグレー、トープ、エクリュなどをキーとして、重力に従う存在と逆らう存在を自然の中に融合する建築物をイメージしながら構成しました」。

「まずご紹介するのは、伸縮性のあるリブ組織素材のトップス。ハリがあり、ダレにくいリブ素材のため、体のラインが出にくく立体的なシルエットに仕上がっています。襟は折り返しても伸ばしても着用可能。肩回りの別生地への切り替えにより、身頃に斜めシワが入りにくく、ストレートのきれいなラインが構築されます。ボトムスにインしてもアウトしても着用可能！　汎用性が高いのでワードローブに一着あると便利ですよ」。

「こちらは、フロントの大きなドットボタンと女性を美しく見せるダイナミックなAラインが特徴的なバルカラーコート。素材は撥水性のある薄手のポリエステル同士をボンディングしていて、裏表ともに肌触りがスムーズ。ボンディングは厚く硬くなりがちですが、この素材は非常にしなやかな風合いで、軽やかかつ立体的なシルエットが構築できるハリを持ち合わせています。袖口には裏地にゴムを通しているため、袖を肘までたくし上げて固定することも可能。スタイリングにさりげなく軽快感をプラスできる、深めのサイドスリットもポイントです」。

「皆さまにご好評いただいているグルカスラックスのディティールを踏襲したショートパンツも要チェック。腰回りは深めのタックでゆとりがあるシルエットにし、膝丈も脚が出すぎない大人向けのレングスに。フロントはベルトをクロスさせ、両脇のバックルで調整するデザインです。素材は含浸加工を施した「ザ・リラクス」定番のウール素材。ハリがあり、立体的なシルエット形成に最適です。また、シーズン問わずに使用できる素材感のため、肌寒い時期はロングブーツと合わせてもきれいなバランスが作りやすいですよ」。

「長年の定番であるショートモッズコートを、今季は素材・デザインともにアップデート。ダイナミックなAラインシルエットはそのままに、着心地を楽に、コンパクトな印象にしています。ドロップショルダーで袖まわりの締めつけ感をとり、ルーズシルエットのインナーも着用可能に。裾回りを今までよりも大きく、Aラインの女性らしいフォルムはキープさせています。また、フロントの着丈を少し短くすることでボリュームのあるワンピースやボトムスともバランスよくマッチ。素材は前述のバルカラーコートと同じボンディング生地で光沢感があるため、よりエレガントさが出ています。快適な軽さと肌触り、立体的なシルエットが両立した魅力的な素材が、モッズコートをモダンな一着へと昇華させています」。

「こちらは、ハリのある素材感で立体的なシルエットが特徴のブラウス。今季新しく作ったカットソー素材で、表面にはコットンのキメ細かい組織、裏面にナイロンが回っている特殊で丈夫な生地です。度詰めでハリがあり、シルエット形成は非常に立体的。そのため、素材を生かすデザインとパターン設計にし、ネックはコンパクトなスタンドカラーで布帛仕立てに仕上げています。身頃は大き目ですが重力に沿い、シルエットに無駄なシワが入らないため上品な印象。一見厚く硬く見え、春夏には不向きに感じられますが、裏面の質感はドライタッチなため、通気性が良く夏場でも快適な着心地。きれいなシルエットも保てて一石二鳥です」。

「昨今定着しているルーズシルエット傾向に対して、新鮮味のあるジャストサイズのジャケットを作りました。「ザ・リラクス」らしくウエストのシェイプはなく、ストレートなラインです。含浸加工を施した定番のウールギャバを使用しており、メンズライクで構築的な雰囲気ながらも、特殊な肩回りの設計によって凛とした佇まいと華奢なシルエットを両立。毛芯は薄めのものを一枚入れて型崩れを防止しつつ、重くなりすぎず、ラペルの返り線も深くしてカーディガンのように軽く羽織れる仕様に。フロントにきらりと光るシルバーのミリタリーボタンもポイントです」。