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L'ANGELIQUE ランジェリーク 2025.09.22

Special Interview【前編】 「ランジェリーク」新コレクション「ETHOS(イートス)」の誕生秘話と、職人のこだわりを紐解きます。

生地に宿る、感性と技術。

肌に溶け込むような柔らかさと、着ていることを感じさせない軽やかさ。
「ランジェリーク」がこよなく愛する質感を、新コレクション「ETHOS」の生地で叶えてくれたのは、奈良県葛城市にある老舗ニットメーカー、アラキニットの荒木政克さん。ETHOSの下着とインナーウェアの完成のご報告を兼ねて、「ランジェリーク」デザイナーの有馬智子と奈良の工場を訪れてきました。

イートス 3/4カップブラ
L'ANGELIQUE イートス 3/4カップブラ ¥17,600

有馬:今から数年前、カドリールニシダ(ランジェリークの本社)の紹介で、アラキニットさんの工場見学に伺う機会がありました。そのとき、ご自身で古い編み機のカスタムまでされていたりすると知って、「あ、なんかすごく頼もしい方だな」と思ったのが第一印象でした。
 
荒木:僕が有馬さんと初めてお話ししたときの印象は、消費者に近い感覚を持っている方だなということ。普通、業者の人ってデータで話すんですよ。どの糸を何パーセント使って欲しいとか。でも有馬さんは感性で自分のこだわりを話してくれた。僕は、デザイナーさんには専門知識より感性を大事にしてほしいと思っているんです。だから有馬さんのそういう感覚がいいなと思いました。
 
有馬:消費者の感覚というのはまさにそうで、自分が着たいと思うものや使いたいと思うものをお届けしたい、というのはすごくありますね。その中でもやっぱり1番のこだわりは、素材。すべては材料ありきのことだと思うんです。それを生かすか殺すかは私たち次第だけど。食材に例えると、「火を入れただけでおいしい」みたいな。そういうのが一番良いなと思っていて。
 
荒木:僕にとって、そんな有馬さんの感性が新鮮でしたね。

イートス(I) 長袖インナー
L'ANGELIQUE イートス(I) 長袖インナー ¥16,500

有馬:前回(2023年)に初めて編んでいただいたインナーウェアの生地があまりに気持ち良かったので、今回はそのニットを使ってインナーだけじゃなく下着作りにも挑戦してみたいと思いました。こんなに柔らかい素材でブラジャーまで作るというのは、ちょっと珍しいんですよね。
 
荒木:ブラジャーは普通、もっと伸縮性の強い生地で作りますからね。でもこの生地の柔らかさをどうしても生かしたかったから、有馬さんたちにも縫製やデザインの力で協力していただきました。とても柔らかい生地なので、その耐久性をデータ的な数値だけで判断すると、どうしても風合いや柔らかさを妥協することになってしまうんですよ。だからそうしないために、一緒に工夫してくれて。
 
有馬:データ上では難しいと判断されても、技術を掛け合わせることで強度を高めることはできるんです。たとえば今回のETHOSのブラジャーだと、強度を担保するためにニットを部分的に二重にしたり、少しハリのある生地を部分的に使ったり、と。そういう工夫をした上で耐久テストに何度もかけて検証するので、時間はかかるんですけどね。実現したい生地があるなら、私たちも生地屋さんと並走しなければと思っています。
 
荒木:やっぱり、洗濯をしたときにタルんでしまったり縮んでしまったりしたら、買ってくださったお客様に申し訳ないから。伸び縮みしないでずっと長く使っていただけるものを作りたいんです。でも同時に、生地の個性も妥協したくないし。そういうときに、僕はカドリールニシダの縫製技術と品質基準っていうのをすごく信用しているんですよ。ちょうどいいポイントを見つけてくれるから。

イートス ノンワイヤーブラ
L'ANGELIQUE イートス ノンワイヤーブラ ¥14,300

有馬:有機的な素材にこだわっているところも、私と荒木さんの共通点ですよね。ETHOSの生地はピマコットン(世界3大コットンと呼ばれる超長繊維綿)とシルクで編んでいただきましたが、この肌触りはやっぱり特別です。
 
荒木:そうですよね。このピマを初めて触って編んでみたとき、これはものすごく有馬さんの言っているイメージに近い生地になるなと思ったんです。だからこのピマをベースにして、シルク糸を少し足すことで、下着にちょうどよいサラッとした質感に仕上げました。色々試したのですが「ピマコットン8:シルク2」というこの配合がすごくよかった。
 
有馬:そう、荒木さんは糸の種類にもすごく詳しくて、糸の原料となる綿や蚕の種類から勉強されているんですよね。
 
荒木:はい。糸って原産国によって色も風合いも違いますから。僕はニッターですけど、材料となる糸のことを糸屋さんに全部任せてしまったら、どこの魚かわからないものを刺身にして出しているみたいで、それは良くないじゃないですか。ちゃんと糸の源流のことを知っておいた方が、こういう生地が欲しいっていうお客様のリクエストにしっかり応えられますよね。だから僕は、最終的にはバーテンダーみたいに、数ある種類の中からお客さんに合う糸を選んだり組み合わせたりできるニッターになりたいと思っているんです。ちょっと紡績に近い位置から提案できるような。
 
有馬:それはデザイナーにとってもすごく有り難い未来ですね。
 
―インタビュー後編はアラキニットさんの工場へ。
古い機械がゆっくりと丁寧に生地を編む、オーセンティックな世界を覗かせていただきました。
どうぞお楽しみに。

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