「キジノカノウセイ」華やかなツィードシリーズ

まるで空気を含むように、あえてざっくりと織り上げ、仕上げの加工に頼らず、糸が本来持つ素朴で豊かな風合いを楽しめるよう織られたツィード。
この深みのある表情は、緻密に計算された2種類の糸にあります。
ひとつは、先に起毛させたグレーの糸。 織られた糸と糸の隙間をスモーキーに埋める作用もしています。
もうひとつは「壁糸（かべいと）」と呼ばれる、立体的な黒い糸。 太い糸に細い糸を巻き付けたそのうねりは、ループになる手前の絶妙な加減。 まさに職人の感性だけが成せる技です。異なる形状の糸が響き合い、唯一無二の陰影と深みを生み出す。 袖を通すたび、その職人技とテクスチャーに魅了されるはず。

たくさんの糸を組み合わせて織り上げた、糸見本のようなツイード。
淡いラベンダーの糸は、ウールとシルクの糸を5本合わせて撚り、1本の糸に仕上げています。この5本の糸はそれぞれがほんのりと異なる色を持ち、撚り合わせることで深みのある表情に。グリーン系とオレンジ系の糸は、美しく絣染めを施したもの。

ぐりぐりとした太い白糸はコットン、それ以外はウールで構成されています。
ウールは、タスマニアラムの上質で柔らかな原料を使用。柔らかく、もともとニットに適した糸のため、細いナイロンで巻くことで織りにも耐えうる強度をプラスしています。さらに、横糸にはさりげなく小さなワッカ状のループヤーンを使用。
このループヤーンによって、ふわっとした優しい表情と膨らみのある風合いが生まれています。